VARIABLE BARRICADE NS 石動大我 感想

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格好いいヒーローじゃなくていい。才色兼備の完璧なお嬢様じゃなくていい。

石動大我×東条ヒバリ、素敵なカップルでした。

 

以下大我さんルートの感想になります。

ネタバレ注意です。 

 

 

 

 

大我さんルートに入ると、まず大我さんに対してフィルターがかかる。
石動大我は鷹宗氏に認められている。紬も、春日でさえも一目置いている。ヒバリさんが一定以上の評価をしている、あるいは心を許している人たちが認めているのであれば、きっとそれ相応の人物に違いない……。
そうやって大我さんを誰かの評価を通して見つめることになる。
大我さんは確かに格好いい。ていうかめちゃくちゃ格好いい。顔面が好きすぎる。口は悪いし態度も大きいけど、相手の立場で態度を変えたりもしない。周りをよく見ていてフォローも出来るし気遣いも出来る。同じように立ち回ることは、ヒバリさんには出来ない。
フィルターを通して見た大我さんは確かに一角以上の人物に見えて。
より一層フィルターが強固になる。
彼が花婿騒動における唯一の味方かもしれないと認識してからのヒバリさんの築いたバリケードの崩れ方はあっけなかった。痛々しいほどの脆さ。

 

ヒバリさんは自分にも完璧を求めるし相手にも完璧を求める。ヒバリさんは東条を背負っているから。
平気で無職でいられる価値観の違いすぎる男性4人に警戒心剥き出しだったとしても、一緒に過ごせば楽しいと思う気持ちはある。でも、ヒバリさんは完璧しか認められないから、例えば共通ルートの途中でめちゃくちゃになってしまったBBQパーティを、乱闘騒ぎ込みで楽しかったとは笑えない。壱哉さんたちみんなが笑っていてもヒバリさんは傷がついてしまった事を良しとできない。

 

脆さ故の頑なさ。
一度心を許した相手には何をされてもその信頼は揺るがず、心を全部預けてしまう。
ツンツントゲトゲとハリネズミのようだったヒバリさんから柔らかさが垣間見える様になる場面が一気に増えて、大我さんが放っておけなくなってしまうのも宜なるかな

 

でも18歳未満の女の子に「勃……」発言は良くないと思うぞ。おかげでゲーム中断するくらい爆笑したし動画にも残すくらい印象に深く深く残る名場面となってしまった。最高。

 

大我さんはヒバリさんのことを女の子として、
ヒバリさんは大我さんのことを男の人として、
お互いに意識していくうちに、
ヒバリさんのフィルターはどんどん強固になっていく。
大我さんが卑下する事を言ってもフィルターは揺るがない。

 

東条の後継者である東条ヒバリ。
東条というフィルターを通してしか認識されることのなかったヒバリさんは、気づかない内に自分が受けた事をそのまま大我さんにしてしまう。
だってヒバリさんは他者との関わり方をそれ以外知らないから。

 

耐えきれなくなった大我さんは尻尾巻いて逃げ出すわけだけど、ヒバリさんが逆の立場だったらどうなるか。彼女はたぶん耐える。今までだってそうしてきたんだから。耐えて耐えて耐えて、耐えきれなくなった心を、なおすり潰して、いつかヒバリって女の子はいなくなって、東条の後継者って肩書を背負った完璧な令嬢だけが残るんだろうな。
共通ルートで誰も選ばなかったEDの美しい顔で微笑むヒバリさんを思ってゾッとしちゃった。

 

怖気付いた大我さんが逃げ出した後、鷹宗氏から話を聞いてようやく自分の言動・行動が相手を追い詰めていた事に気づくんだけど、鷹宗氏はヒバリさんに手を貸さない。友人である有村さんも自分で考えろと、転んだヒバリさんを助け起こさない。
でも、見放されたわけではないってヒバリさんが理解しているのがとても良かった。
ヒバリさんは確かに孤独だったかもしれないけど、皆んながみんな、ヒバリさんの敵だったわけではない。大我さんに心を許して、狭まっていた視野が開かれつつあるヒバリさんはそれを理解しているから、己の殻に閉じこもることはもうしない。
ヒバリさんのために、もう花婿候補でもなくなった壱哉さんたちは変わらず傍にいてくれる。紬も話を聞いてくれる。有村さんも叱咤しつつ助言はくれる。みんな東条なんて関係なく、ヒバリって女の子が好きだから。

 

しかし、ここは本当に有村さんがいてくれてよかった。
もしいなかったら、ヒバリさんだけでもWHISを使う事は思いついただろうけど、くそ重い文章を長文で送って、しかも追撃しそうだもん。

 

そうして、考えに考えたすえに送った内容が日常のなんでもない報告なのもいい。
まだ東条を背負うとかそんな事で二人がすれ違ってしまう前、ヒバリさんの警戒心が解けて毎晩のように大我さんと楽しく会話を弾ませていたあの頃を思わせる。
どんなにヒバリさんが怒りを吐き出しても大我さんは笑って聞いてくれて。
あの瞬間はヒバリさんにとっても、大我さんにとっても、得難い瞬間だったと思うから。
ヒバリさんの呟く日常を毎日見て、想像して、ヒバリさんへの想いを募らせた大我さんがようやく心を決めるのも好きだな。

 

ヒバリさんを送り出す花婿候補たち。

彼らはずっとヒバリさんの味方。一緒に過ごして騒動ばっかり起こす煩わしい人たちだったのに、ヒバリさんにとって心強い味方に、いつの間にかなっていた。ヒバリさんが認めない、気づかないだけでヒバリさんの周りには味方がたくさんいる。

大我がいるだろう場所へ行くヒバリさんを笑顔で見送ってくれるこの場面がすごく好き。


クリスマスツリーの下での最悪の再会。
ここらへん、涙がどばどば溢れて止まらなかった。
東条ヒバリとしては最低の行為。大勢の他人の目があるところで子供の様に泣き喚いて。
きっと、ちょっと前のヒバリさんなら自己を殺して大我さんと話し合うことを放棄しただろうし、そもそもあの場に行かなかっただろう。東条の面目を優先して。
でも、大我さんを想って涙は止まらないし言葉も止まらない。
だから、大我さんに伝わる。ここでヒバリさんの想いを受け止めない人ではないから。

 

ヒバリさんは東条を背負っている。それがどんなに孤独であっても、東条を背負っていないヒバリさんは、もうヒバリさんじゃない。

 

『東条家に生まれ育ったからこそ、
今の私がいる。

 

「今の、この私じゃ、ダメ?
どうしても、ダメなの……!?」』

 

この言葉はヒバリさんの心にずっとあった。
臆病で強情で愛に飢えた女の子が、抱え込んでいた気持ちを言葉にする事が出来た瞬間。飾り気のない本当の気持ち。
あのヒバリさんが心を曝け出したって事実に私は胸を打たれすぎて動けなくなってしまった。

 

ここで言葉にしたのはヒバリさんだったけど、これは大我さんの言葉でもある。
何もないと笑っていた、何にも持っていない大我さん。

 

お似合いすぎるよ、大我さんとヒバリさん!!

 

EDで所有物宣言をする大我さんの子供みたいにはしゃいだ笑顔。ルート中の大我さんは格好良くて頼りになる男の人だったけど、こういう飾らない表情を見ると、この人も大概格好つけたがりだなあと笑ってしまった。

 

何より鷹宗氏の魅力がとどまる事を知らない。
大我さんには指差して笑ってやる、なんて発破かけて笑ってたのに、実際に2人が笑顔で報告に来たらしかめっ面するんだよ。遅い!て。涙こらえてたのかと思うとじじい〜〜〜!!
私は基本主人公視点を通して他のキャラを見るんだけど、ヒバリさんフィルターを通しても鷹宗氏のことが好きでたまらなかった。
怖い人だけど、お茶目でヒバリさんのことを溺愛している鷹宗氏。愛し方がわからなくて憎まれ口を叩いてどんどん溝が深まっていく、周りからしたらやきもきして仕方がない…どうしようもなく家族だなあと思う。
ああ、新しい扉が開くのを感じる。

 

鷹宗氏がめちゃくちゃ好きなので、是非2人のお子を抱っこする鷹宗氏が見たい。涙ぐむんだよ、きっと。で、それを見てヒバリもなくんだよ。私は愛されていたって心が軽くなるんだよ。
そのあとは孫に激甘な鷹宗氏とのバトルが繰り広げられると予想w

 

 

 

大我さんルートは共通含め回収がうまいなと思った。一つ一つ、ヒバリさんとのやり取りを回収されると、大我さんがどれだけヒバリさんを観察していたかわかってほんとこやつは〜〜〜!
キャラ造形、ストーリー展開、ヒバリさんとの関係性。どれをとっても萌えの爆撃が激しい。
加えて、大我さんルートのいいところは、ヒバリさんが大我さんに落ちていくのがたまらなく可愛かったのと、大我さんがヒバリさんに落ちていく様がとてもドキドキしたところ。
大我さんルートだけじゃないんだけど、攻略キャラの視点がちょいちょい挟まるのがいいなと思う。
大我さんのときめいてる心情が随所で語られてニヤニヤしたのと、照れ立ち絵が多いのがまたいい!立ち絵もスチルも頬染め完備。オラオラ系でヒバリさんを翻弄して〜ってのも大我さんの一面だけど、ヒバリさんにしっかりときめいてヒバリさんと同じくらい照れてるの知ってるからもうたまらんギャップ〜〜〜!!!

 

Switch版で追加されたアフターストーリーも本当に幸せで苦しくなるくらい。
最後のスチルなんて感動で涙ぐんでしまった。

 

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大我さんルート本当に楽しかった。
FD出ないかな〜またちょっと違う関係性を見せてくれるんじゃないかなと期待して待とうっと。